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いのきちの物語

​更新情報

​書きたいから書くのではない。
書かずにいられないから書くのだ。

自分の中には、自分の言葉では表すことのできない自分がいる。でも僕は、その自分を抉り出し、その自分を白日の元に晒さなければならない。

あるいはそれは僕自身を破滅に追い込むのかもしれない。

しかし、あるいはそれは、世界を救うのかもしれない。

 

inokichi

著作(出版済み)

泣き虫ラガー(表紙).jpg

あの日、夕暮れ迫る国立競技場で起きた奇跡の同点トライが、ひとりの少年の人生を変えた。

野球一筋で生きてきた中学生・吉田。成績優秀、生徒会役員、野球部主将。周囲からは「模範的な優等生」と見られていた。しかし彼の胸の内には、自分自身への違和感が静かに積もり続けていた。

高校進学を前に、自らの限界と向き合い、長年続けてきた野球を手放す決断をする吉田。挫折と喪失感の中で彼が選んだ新しい道は、未経験のラグビーだった。

そこには、野球とも勉強とも違う世界があった。

体ごとぶつかり合う激しいコンタクト。
仲間のために身を投げ出すタックル。
誰かの失敗をみんなで支える文化。
そして、自分ひとりでは決して前に進めないという厳然たる事実。

ラグビーを通して吉田は少しずつ変わっていく。

優等生として周囲の期待に応え続けてきた少年が、自分の弱さや臆病さを受け入れながら、本当の自分を見つけていく。仲間と笑い、悩み、ぶつかり合いながら成長していく日々は、まるで夕暮れの空が少しずつ色を変えていくように鮮やかだ。

これは単なるスポーツ小説ではない。

ラグビーの戦術や試合の興奮を描きながら、その中心にあるのは「少年から大人へ」と歩み始める高校生たちの物語である。

勝利だけが成長ではない。
強さだけが価値ではない。

仲間のために走ること。
誰かの成功を自分のことのように喜ぶこと。
そして、自分自身を許し、受け入れること。

そんなラグビーという競技が持つ温かさと人間らしさが、丁寧な筆致で描かれている。

タイトルの『泣き虫ラガー』が示す通り、この物語に登場する少年たちは決して完璧ではない。迷い、傷つき、ときに涙を流しながら、それでも前へ進もうとする。不器用で真っ直ぐな彼らの姿は、かつて高校生だったすべての人の心に静かに響くだろう。

ラグビーを知らない人にも読んでほしい。
青春小説が好きな人にも読んでほしい。

これは、楕円球を追いかけながら、自分自身の居場所を見つけていく少年たちの物語。

熱くて、少し切なくて、どこまでも優しい。

あかね色に染まるグラウンドの向こうで、彼らは今日も走り続けている。

崩れ始めた日々の交点でのカバー画像

人はいつから、
自分の日々が「どこへ向かっているのか」を
はっきりと説明できなくなるのだろう。

都市と郊外の境目。
仕事と私生活のあいだ。
過去と、まだ名前のつかない未来の交差点。

この物語に登場するのは、14人。
彼らは特別な能力を持っているわけでも、
劇的な事件に巻き込まれるわけでもない。

ただ、それぞれの場所で、

少しずつ何かが崩れ始めている。

 

会話は噛み合っているはずなのに、
気持ちはすれ違う。
昨日まで正しいと思っていた選択が、
今日になって急に色あせて見える。

これは「つながり」の物語であり、
同時に「距離」の物語でもある。

互いに近くにいながら、
決して完全には重ならない人生。
それでも、ほんの一瞬、
視線が交わるような交点が確かに存在する。

​各種リンク(長編、短編、コラム)

日本のラグビーが世界の頂点に立つ。その日まで、日本ラグビーを批判的な目で追い続けます。

ライオンズファン30年のチキーノ(chikiino)さんによる、完全主観のファンコラム。

1話読み切りの小説たちです。最新は「共振」 〜娘と父。1つの緊張、2つの影〜と「ハナミズキの咲く頃に」です。

出版前の作品たちです。現在の連載は「そのトライは誰のものでもない」です。

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